2017年09月21日

王制(旧体制)の影響や痕跡が強く残るポール=マルリの街の歴史を刻む記録画的な作品としての側面もある

 どんな日常にもある不安的要因として、予期しない出来事(本作では洪水)や外的要素によって、平穏な日常が破壊的に侵食され、変容してしまう姿を描いた本作であるものの、波立つ水面の筆触を感じさせる描写や、厚い雲間から射し込む陽光によって微妙に変化する色彩の自然的な表現は、観る者に強い印象を与えるだけでなく、王制(旧体制)の影響や痕跡が強く残るポール=マルリの街の歴史を刻む記録画的な作品としての側面もある。

 なお本作以外にポール=マルリの洪水を描いた作品では、本作の左斜めから見た視点で描かれる作品『ポール=マルリの洪水と小船(オルセー美術館所蔵)』や、本作とほぼ同様の視点・構図の作品『ポール=マルリの洪水時の波止場(ルーアン美術館所蔵)』、本作と逆の視点から上流方向を描いた作品『ポール=マルリの洪水(フィッツウィリアム美術館所蔵)』などが知られている。
王制(旧体制)の影響や痕跡が強く残るポール=マルリの街の歴史を刻む記録画的な作品としての側面もある



Posted by カリンちゃん at 16:30