2017年07月10日

ミッドウェー海戦の分析を進める中国

 その75年前と比べて、今の米海軍は相対的に弱体化しているとホームズ氏は見ている。現在の保有艦艇数は275隻だが、これは「世界を覆うには余力が足りない」という。海軍は必要艦艇数を355隻、トランプ政権は350隻、一部の米シンクタンクは414隻という数字を挙げている。米議会は「355」が実現するのは早くて2035年としているが、ホームズ氏は「今年の軍事予算も横ばいで、造船の現場ではほとんど何も起きていない」と懸念する。

 そうした米側の状況を横目に、中国側は今、ミッドウェー海戦の研究に余念がないようだ。ゴールドシュタイン氏は、特に中国の海洋誌に掲載された『ミッドウェー島への道』という中国のアナリストによる研究論文に注目する。同氏によれば、それは「戦術やテクノロジー、あるいはヒロイズムといったものではなく、1942年春に日本の指導部が取った選択を冷静に詳細に分析している」という。その論文の中で最も興味深いのは、「いったん始めた戦争を終わらせるのは非常に難しい」という見解が示されていることだ。ミッドウェー海戦前夜に日本が目指していた最終的なゴールは、「勝利」ではなく、いかにアメリカを停戦交渉のテーブルにつかせるかという「戦争を終わらせること」だったと、『ミッドウェー島への道』は分析しているという。

 ゴールドシュタイン氏は「さらに一歩踏み込めば、アメリカ人は一度怒ったり、恐怖に陥ったりすれば、勝利するまで犠牲と責任を負うことを厭わないということだ。中国の戦略家たちが、それに気づくことに期待したい」と書く。また、ミッドウェー研究から、中国側は「日本は緒戦で得たハワイでの成果の拡大と利益の構築に集中すべきだった」という結論に至るのではないかと同氏は指摘。そして、もし核の時代の今、“第2の真珠湾攻撃”が起きれば、世界は「急速に終末に導かれる」と警告している。



Posted by カリンちゃん at 11:29│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。